うさぎとはっぱ

春と熾月と玻璃の二次創作同人活動まとめサイト
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NARUTO/ナルヒナ/古風気味な百の題目005「絶え間なく」


 流れるような手つきで生まれてくる子供の為に毛糸を編む。いくらヒナタの手元を凝視してみても編み物の知識がないナルトにはどうやって形になっていくのか分からない。ただ、隣に座ってその姿を見るのが好きだった。
「ずっと見られてると照れちゃうよ……」
 一旦作業を中断し、困ったような顔でナルトに声をかける。細められた瞳に長いまつ毛が影を落とし、ほんのりと頬が赤く染まっている。
「ずっと見ててえ」
「そんなに面白いものでもないけどなあ」
 基本的に同じ作業の繰り返しで、段々と出来上がっていくと言ってもすぐ完成するものでもない為ヒナタが疑問を持つのも無理はない。
 不思議そうな顔をするヒナタに対して、ナルトはそっと編み物をしていた手を取る。
「ヒナタが編み物してる姿好きなんだってばよ」
 痛くしない程度の力でぎゅっと手を握る。
「編み物ってすげえよな。長い毛糸を長い時間編むといろんな物に変わっていくんだ」
 その言葉にヒナタは顔を綻ばせた。嬉しさで心が震える。幼い頃から積もっていくナルトへの気持ちは止むことがない。絶え間なく、続いていく。
「生まれる前から母ちゃんが編み物してくれてお前は幸せだな。早く生まれてこいよ」
 大きくなったお腹に向かって優しい声をかける。その声色も、堪らなく愛おしくて、ヒナタは泣いてしまいそうになるのを我慢した。
 溢れそうになるこの気持ちは、目の前にいる人とお腹の子へ絶え間なく注いでいけたら良い。温かな日差しが入る部屋でヒナタはそう想いを馳せた。



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