うさぎとはっぱ

春と熾月と玻璃の二次創作同人活動まとめサイト
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Fate/stay night/士桜/古風気味な百の題目003「目隠し」


 折角の連休だしライダーと出かけてきたらどうだ? という士郎の言葉でとある連休初日、晴れ渡る空の下で桜とライダーは買い物を楽しんだ。服屋に雑貨屋。それから書店。ふらふらと他愛もないお喋りをしながら歩く。昼食にはパスタ専門店でドリンクとデザート付きのセットを楽しんだ。
「しらすと桜えびのパスタ美味しかったなあ。家でも作ってみようかな」
「それは楽しみですね」
 そのままパスタに使われていた調味料、デザートのプリンが固くてしっかりとした味だった……などの会話をしながら足は自然と帰路を辿る。
「あ、先輩だ」
 家へと続く道の途中見つけたのは手に買い物袋を下げた士郎の背中。桜達が出かけている間に夕食の買い出しに行ったのだろう。声をかけようとした桜の頭にふと小さな悪戯心が芽生える。
「ライダー……あのね……」
「……なるほど、分かりました」
 小さな声で子供の様に内緒話をする。お互い、ほんの少しだけくすぐったい気持ちだ。
「……?」
 極力音を立てないように近づくが、流石に完全には消せず振り向こうとした士郎の視界を桜が手のひらで覆う。
「だーれだ?」
 間髪入れずに隣でそう声を発したのはライダーだ。古典的な可愛いらしい悪戯に士郎は状況を把握すると、ははっと笑い声を上げてから口を開いた。
「桜」
 名前を告げられた桜は目を瞬かせると、ゆっくりと手を下ろす。
「結構上手くいったと思ったんですけど」
「桜だってのはすぐ分かった」
 笑顔でそう言い切る士郎を見て、桜とライダーも笑みを浮かべる。士郎が手に複数持っていた袋を受け取り家へと歩みを進めた。二人が楽しかった一日の出来事を話せば、士郎もテレビで見た作り置きの常備菜の材料を買い込んだことを喋る。当たり前のように些細で、それでいて泣きたいくらいに幸福な時間が今、ここに流れている。
「そういえば先輩、さっきどうしてすぐにわたしだって分かったんですか?」
「…………(手と胸の感触を把握してたとは言えない)」


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